序章 ーjoshoー

料理レシピと書評

『ハッピークラシー』

 

 

 

 

日本でもポジティブ心理学の本がここ数年で増えてきた。

昔からあるわけではないところが気になっていた。なにか裏があるような。

流行り物を見るような好奇な目で見ていた。

 

そんな時にこの本に出会った。

 

「誰もが「幸せ」を目指すべき、「幸せ」なことが大事ーーーー社会に溢れるこうしたメッセージは、人々を際限のない自己啓発、自分らしさ探し、自己管理に向かわせ、問題の解決をつねに自己の内面に求めさせる。それは社会構造的な問題から目を逸らさせる装置としても働き、怒りなどの感情はネガティブ=悪と退けられ、ポジティブであることが善とされる。新自由主義経済と自己責任社会に好都合なこの「幸せ」の興隆は、いかにして作られてきたのか」

 

本書の裏表紙に書いてあったこの文章を読んで、大変興味を惹かれた。

 

心理学関係の本は、

病気の人や精神疾患を抱えた人が関係するものだという感覚が昔はあった。

 

最近は心に問題を抱えていなくても

より良い人生を送るために

より良い自分になるために

ポジティブ心理学が注目されている。

 

 

幸せを追い求めることがそのひと個人の幸せにかなっているのだろうか。

幸せを追求するということは今はまだ幸せではないという感覚に陥ってしまう。

つまり幸せを求めるあまり不幸せになってしまっているのではないかという疑問が生まれた。

 

 

「幸せの科学者や専門家たちは、人生の意味や目的を見つけることはより幸せな人生を送るために必要不可欠だと主張するが、いったい何が目的を与えてくれるのかを具体的に言うことはない。それがわかるのは本人だけだ。この点について、幸せについての物語は具体的な中身をもたず、だからこそ自由に変形することが可能で融通がきく。」

 

何がきみを幸せにするかはわからないけど、人生の意味を見つけることで幸せになれるという旨の自己啓発本はたくさんある。

 

このような類の本を読んでも一向に生活が上向かないのはなぜだろうか。

一度立ち止まるきっかけになるだろう。

 

これが良いと無意識に考えていることも(幸せな状況が良いなど)、

大きな消費資本経済の潮流のひとつに過ぎないのだと気づかせてくれる。

 

 

 

 

 

ーーーー読んだ本ーーーー

『ハッピークラシー』

「幸せ」願望に支配される日常

エドガー・カバナス

エヴァ・イルーズ

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